はじめに
今日から不定期更新で、アートマネジメントに関する様々なコンテンツを発信していきたいと思います。
その名も「アートを経営する(仮称)」シリーズです。
そのまんま過ぎるので、もう少しスマートな名前にしたいと思いつつ、
一旦仮称で行きたいと思います。
「アートを経営するシリーズ」とは?
本コンテンツは、2016年から文化政策に携わってきた筆者が、実際に得てきた知識を筆者なりにまとめたものとなっています。
アートと社会がよりつながっていく時代を築くために、
得てきた知識をコンテンツとしてまとめるとともに
これを深めて、掘り下げていくことで、
社会におけるアートの可能性を追求していこう、という試みです。
どんな内容を掲載していくのか?
基本的には、
- 法令や計画などといった総論に関すること
- 学説や論文など学術的な内容に関すること
- 実際の事例や、マーケティング、ファンドレイジングなど具体的な取り組みにかんすること
を想定しています。
つまり、筆者の琴線に触れた内容であればなんでも掲載していきます(笑)
なお、本コンテンツは各種参考資料を踏まえ、可能な限り精度の高い内容となるよう制作しておりますが、あくまでも、筆者個人の見解でまとめたものとなっておりますことを、あらかじめご了承ください。
今回のテーマ:文化政策ってそもそもなに?
今回の記事で伝えたいこと
- そもそも、政策ってなに?
- 文化政策ってなに?
- 文化政策を支えるもの~法律編~
今回は第1回ということで、そもそものさらにそもそも、
文化の政策ってどういうこと?
という点に絞って整理していきたいと思います。
政策ってなに?
政策という言葉、ニュースではよく聞くけど、実際に使ったりすることはほとんどないという方が多いと思います。
あらためて調べてみると
政策とは、政府、政党、団体または個人が公共的な問題について、とるべき方向や態度。
『精選版 日本国語大辞典』|コトバンク
となっています。
問題に対するアプローチは無数にあります。その中でも、この方向から、このスタンスで臨みます、ということを示すのが政策である、というニュアンスでいいのかなと思います。
具体的な方法よりも、姿勢や意図を読み取るもの、とも言えますかね。
文化政策ってなに?
文化政策の定義
政策の定義を改めて確認したうえで、じゃあ、文化政策って何なのか?
ということになりますよね。
先ほどの定義から応用すると
文化に対する政策
と言えます。
そのまんまですね(笑)
もう少しちゃんと書くとしたら、
文化・芸術を取り巻く様々な問題や課題について取るべき方向や態度
ということになります。
例えば、こんなイメージでしょうか。
- 【助成】文化事業に対する補助金や助成金制度をつくる
- 【直接給付】公立・国立の公共ホールや劇場をつくって、運営する
- 【規制】文化財を保護するための仕組みを作る
こういったものが文化政策になるのかなと思います。
この例示は、もう少し具体的な「施策」に近いのかなとも思いますが、
「支援しますよ」/ 「直接触れられる場を作りますよ」 / 「ルール作りますよ」
こういうスタンスを示している、ということになりますね。
一貫したスタンスをみせる
もちろん、思いついた政策をただただ打つだけでは、あまり効果は見られません。
政策を考えるうえでは、
- 【目的】なんのためにやるのか?
- 【手段】どういう政策を打っていくのか?
- 【役割】誰がやるのか?(国なのか、自治体なのか、その他団体なのか
などのような、政策を打つうえで、根本となることを明文化することで、総合的な政策が打てるようになると思います。
それを、言葉にして示したもの、
すなわち政策の根拠となるものが
だといえるでしょう。
文化政策を支えるもの~法律編~
では、その文化政策の方向性を示す法律とは、いったい何があるのか?
このことについてご紹介したいと思います。
これだけは知っておくべし!ふらー的「文化政策に関する超基礎的法律3選」
文化政策について知るうえで、最低限押さえておきたい法律は
- 文化芸術基本法(旧:文化芸術振興基本法)
- 劇場・音楽堂等の活性化に関する法律(劇場法)
- 文化財保護法
の3つです。
特に文化芸術基本法は、国の文化政策に対するスタンスとして、最も総合的で、基本的な内容が示されているものになります。
文化芸術基本法が生まれた背景
文化芸術基本法は、2017年に、文化芸術振興基本法から改正されたものです。
文化政策に対するスタンスとして最も総合的で基本的な内容を示している、
と先ほど記載しましたが、
改正前の文化芸術振興基本法ですら、実は制定されたのは2001年です。
思ったよりも最近だな、という印象を持ちませんか?
この法律が制定されることになった背景の一つに、阪神・淡路大震災があったといわれています。
芸術家・文化人による、ボランティアでのアート活動や、チャリティコンサートなどが全国各地で広がり、文化・芸術の力が復興を支える重要な役割を果たしているといわれています。
このことから、
文化芸術は不要不急のものではなく、困難なときこそ必要とされる重要なもの
との認識が広がり、文化政策の理念・根拠の明確化の機運が高まっていったのです。
当時の法案の提案理由にも、
「文化・芸術に関する基盤の整備・環境の形成は不十分である。文化・芸術の振興に関する施策の総合的な推進をしていくためにこの法律を提案します」
といった趣旨の理由が述べられています。
“文化芸術は,人々の創造性をはぐくみ,その表現力を高めるとともに,多様性を受け入れることができる心豊かな社会を形成するものであり(中略),それ自体が固有の意義と価値を有するとともに,国民共通のよりどころとして重要な意味を持ち,自己認識の基点となるものであります。
(中略)現状では,文化芸術に関する基盤の整備や環境の形成は十分な状態にあるとはいえません。二十一世紀を迎えた今,これまで培われてきた伝統的な文化芸術を継承し,発展させるとともに,独創性のある新たな文化芸術を創造することが緊急の課題となっています。
文化芸術振興基本法案提案理由説明|文化庁(一部抜粋)
まとめ
では、本日のまとめです。
- 文化政策とは、文化・芸術を取り巻く様々な問題や課題について取るべき方向や態度である
- 文化政策の基本的な法律は、3つある。その中でも、総合的で基本的なスタンスを示しているのが、文化芸術基本法である
となります。
実際の法律には、いったいどういう内容が書かれているのか?
それは、また次のコンテンツでご紹介できればと思います。
今回は、これで以上になります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
この記事を読んだあなたの人生が、
少しでも豊かになりますように。
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